安くて旨い本 [1] トランプ後の世界

私のクライアント向けDM「気づきの樹」に連載していた、独断と偏見のオススメ本コーナーをこのブログで再開します。
基本的に「安くて」「うまい」を原則にするため、税別1000円以下の本に限定しています。
ですから初版より早くて半年、どうかすると再発本を紹介することもありますが、あしからず。

では、記念すべき本ブログでのご紹介、第一弾。

『トランプ後の世界』 白岩禮三著、東京図書出版 950円(税別)

トランプ後の世界

タイトルからすると、「アメリカ大統領がトランプになったからこれから世界はこうなるぞ」という感じですが、内容はトランプ政権になろうがなるまいが、日本の近未来はこうなる、という予想本です。

この著者は、22年前に「失われた20年」を予言した唯一の経済評論家です。
バブル崩壊後の日本は、確かに不況になりましたが、すぐに立ち直るだろうと考えていた人がほとんどでした。
ですからその先見性は凄いと言わざるを得ません。

さてこの本。かなり真実をついています。私が考えている近未来の日本の姿とだぶります。
まず日本の現状分析。世界における位置づけ。

バブルの頃まで、日本の家電産業は世界に君臨していました。しかしいまはその面影はありません。
なぜそうなったのか?

そしていま残っているのは、自動車産業だけですが、これさえも第4次産業革命(Industry 4.0)が本格的に稼働すると危険だ、と警鐘を鳴らしています。

その核心部分は、「最新のIT機器や装置を駆使して製造業の現場から単純労働者を一掃すること」。
つまりIoT、ICT、AI、ロボット技術などが複合的に動き出し、ロボットでできるものは全て置き換わるというものです。

この単純労働ですが、いわゆる工場ライン現場の職工さんや車の運転手さんだけではありません。
税理士や弁護士なども、かなり整理されるというのです。
恐ろしいことに、今の職場の実に50%がなくなるとも予想されています。

既にアメリカやドイツ、中国、インドはこの4.0の最前線に立っており、日本は3周遅れというのが現実です。

そしてこれらの余った莫大な労働力はどうなるのか?
その時に、日本は? 中国は? アメリカやヨーロッパ各国は? 
では、いま日本がやらなければならないことは何か。

具体的なデータも多く、説得力ある一冊です。