タクシー会社 復活の秘策

仕事で、よく地方にも行きます。
県庁所在地でも、東北や四国などでは、「ここが本当に県庁所在地なの?」と驚くような街はたくさんあります。
JRの駅前や、どこの街にもある飲み屋街。これが本当に寂れているのです。
地方が力を失って久しいのですが、益々悪くなっている印象です。

県庁所在地の市がこれですから、そこから1時間以上離れた市町村は、もはや適切な表現さえ浮かびません。人が歩いていない。子どもがいない。車も少ない。

そんないわゆる「田舎」にも、タクシー会社はあります。
多くは保有車数が5~10台程度。多くは赤字に苦しんでいます。
そこで、65歳以上の高齢者を雇用し助成金で何とかしのぐ、ということが普通に行われています。
高齢者の雇用対策になっているのです。

そんな田舎のタクシー会社を復活させた社長がいます。
この社長の本業は自動車整備業。もちろん新車や中古車も扱っています。

さて、タクシー会社を黒字化させるには、まず社長職、部長職、課長職などの管理者や総務経理系の人員など、「運転しない人」を極力減らせば、黒字化ができることは知っています。
しかし復活させた会社は、さらに多くの改善ポイントがありました。

この会社の社長は、タクシー会社経営は初めて。
ですから、業界のしがらみは関係ないし、新鮮な目線で業務改善をしました。

まずタクシーに使う車。
従来はトヨタの「クラウンコンフォート」というタクシー仕様の車を使っていました。
サイズはクラウン並みなので、お客さまはゆったり乗ることができます。
しかし「走るための最低限の仕様」であるため、乗り心地は悪い、運転手さんも体調が悪い、パワーはない、何よりも1台250万円します。

そこでこの社長は、カローラの一番安い車種に入れ替えました。
一番安いとは言え乗用車仕様です。乗り心地もパワーも全く違います。ただ一回り小さい。
ところが、この大きさでも実は何ら支障はありません。
このカローラに、「ガソリンとLPGのハイブリッド」ができる装置を取り付け、燃費改善をしました。
これでも1台230万円! 乗車のお客さまの評判は上々。
改善ポイントはまだまだあります。

これらの大改革を行った結果・・・
なんとそれまで毎年1000万円近い赤字だったのが、2年目で2000万円の黒字という快挙を達成!
凄い! 凄すぎる!

私も経営コンサルタントとして謙虚に学び、もっと視野の広い業務改善につなげたいと思う事例でした。