上客が欲しければ上品になりなさい
「上客」とは、商売上での大切なありがたいお客さま、上得意客のこと。
では、上客とは、お金持ちとか富裕層のことでしょうか?
答えは「いいえ」。とりたてて高額所得者ということではありません。
一般の、フツーのお客さまのことです。リピーターとなっていただけるお客さまは上得意客です。
では「上品」とは何でしょうか?
辞書には「品格のあるさま。品のよいさま。」(デジタル大辞泉)とあります。よく分かりません。
近いイメージで言えば「紳士淑女」でしょうか。
男性なら紳士、女性なら淑女。少しイメージが湧いてきました。
1976年、ヤマト運輸が「セールスドライバー」なることを始めました。
宅急便を運ぶ運転手さん兼配達員に、営業マンの役割や態度を身に付けさせるというものです。
そもそも運送屋さんの運転手さんは学校が嫌い、人とコミュニケーションをとるのが苦手、人に頭をさげる営業マンなんかまっぴら、とまあやんちゃなタイプが多く、企業の営業マンをやるくらいなら運転手やってる方がマシだ、という人が多かった時代です。
ですから私は、「運転手さん」を「セールスドライバー」にするなんて無理だと思っていた時期がありました。
ところが現在はどうでしょう。
ヤマト運輸の配達員は実に礼儀正しく、きちんと挨拶をし、多くのサービスについての知識もしっかりと持っている、立派なセールスドライバーとなっています。
事務所の移転の際には引っ越しのサカイに依頼しました。見積にきた営業マン、引っ越しの現場担当者、作業のアルバイトの女性も含めて、実にマナーもしっかり、仕事もテキパキ。ビックリポンです。
そんな話をある人にしたら、その方の息子さん(高校生)が引っ越しのサカイでアルバイトしているとのこと。
「どうですか?」と訊ねると、「会社に鍛えられているようで、礼儀正しくなってきた」とおっしゃって驚いておられました。
こうしてみると、かつて感じのよくない人が多かった職業が、大きく変わったことに気づきます。
もちろん他の宅配便業者や引っ越し屋さんにはまだまだ低次元の企業も多くあると思います。
それでも結局は、従業員品質の向上をしている企業が勝ち残ると思います。
なんと!「従業員品質の向上」には、「上」「品」という文字があるではありませんか。
これを「上品」と言うのは、いささかこじつけがましいかも知れません。
しかし企業の勝ち残りのためには避けては通れないことなのです。
(つづく)