メモを取るということ
お客さまとの打合せや社内の会議で、メモを取らない人が多いことに驚きます。
たとえば、お客さまと1時間、打合せをしたとします。
多くの人は、もちろん少なからずメモは取ります。でもその量が驚くほど少ない。
1時間も打合せをすると、よほど雑談ばかりしていない限りは、A4用紙にびっしりメモがつまるはずです(私は今でもそうです)。
これだけの情報を、記憶する、覚えておくことは、私にはできません。
実際、私を含めほとんどの人は、すべてを正確に記憶することは不可能なのではないでしょうか。
「メモを取る」ということは、デジタル的に言うなら、外部ストレージ(外部の記憶媒体、たとえばUSBメモリー)にメモリーすることです。
ただ、人間はあくまでもアナログです。
私は自分自身のメモリー容量が少ないため、外部メモリー、つまりメモをよく取るのです。
このメモが、後でものすごく味方になってくれます。
特に議事録の形式をとった場合は、圧倒的な強さを発揮します。
まず、打合せメモのメリット。
(1) その場で確認した内容を記録し、時間が経ったあとでも確認できる。
(2) 提案書を作成する場合に、このメモから多くのご提案が可能である。
(3) 曖昧な部分は、後日確認することができる。
(4) 次回の打合せの際に、前回の確認をした上で始めることができる。相手も同様に内容を思い出すことができる。
(5) 後で「言った言わない」の問題になり、たとえ訴訟まで発展したとしても、一定の証拠能力がある。
さらに議事録にすると、より効果的です。
議事録の場合は、その場で打合せした内容をまとめ、複写式用紙またはコピーで、相手方に確認の上、サインをもらうことです。
こうすることにより、さらなるメリットが生まれます。
(6) 上記(4)の場合は、より強い効力を発揮する。
(7) そもそも毎回議事録をきちんととっていると、お客さまとの間に絶大な信頼関係が生まれる。
従って、上記(5)のようなことにはなりにくい。
(8) 議事録にサインを求めると、相手方も真剣に内容を確認するために、よい緊張感が生まれ、必然的に打合せの質が向上する。
たとえば、注文住宅業界はよく「クレーム産業」と呼ばれます。
これは、発注者である施主さんと、作り手である工務店との意思疎通が不十分な場合、それが原因でトラブルが起きるからです。
私はこの業界を永らくお手伝いしていますが、なかなかこの「議事録をとる」という基本動作を定着できずに苦労しています。
そしてまた同じことを繰り返す工務店が後を絶ちません。
議事録をとらない・とれない理由は、いろいろあります。
理由① 字が汚い。
理由② 文章を書くことが苦手。
理由③ 面倒である。
理由④ 覚えている。
理由⑤ 確認はした。
しかし、これらを言い訳にした結果、議事録をとらなかったことで起きてしまったトラブルは、必ず大きくなります。
施主さん、施工者ともに不快で時間をムダにするということです。
まずは、「メモをとる」クセをつけることから始めてみませんか。