現代のベートーベン

がっかりです。あ~あです。

まあ、いかにも胡散臭さは漂っていましたが、天下のNHKスペシャルです。
ウラも取っているのだろうと思って、概ね素直に番組を見ました。
佐村河内守氏(以下、S氏)です。「すごい人が日本にもいるんだなあ」と前向きに評価したものです。

ところが!

突然、新垣隆氏(以下、N氏)なる人物が登場し、「私は共犯者です」会見。
なんでも、S氏はコンセプトメーカーで、そのコンセプトに基づいてN氏が作曲をしていた、つまりS氏は作曲は全くしていなかった、ということらしい。
もうがっかりです。

交響曲第一番「ヒロシマ」。
かなりすごい曲です。大作です。いや感動的な曲です。
番組では泣いている聴衆もかなりいました。

音楽で、しかも21世紀における作曲家の曲で、聴衆が泣くなんてことは、本当に例外です。
聴衆受けする曲は、きっと良い曲です。
評論家がなんと言おうと、最後はより多くの聴衆が感動する曲が後世に評価されるのです。

現代音楽の作曲家、吉松隆氏(NHKの大河ドラマの作曲もする)は、S氏が注目されだした時には、随分押していたらしい。かの三枝成彰氏さえ推薦した。
そのぐらいすごい新人として、登場しました。

にもかかわらず、彼は作曲どころか、譜面も読めない書けない、ピアノも弾けないという、まあおよそクラッシック音楽家としては全くダメダメだったのです。

とはいえ、N氏の話によると、S氏がコンセプトを提示し、N氏が曲にするという役割分担だったようです。これはこれでアリだと思います。

指示書

この役割分担について、作曲家、吉松隆氏のブログ(http://homepage3.nifty.com/t-yoshimatsu/)で興味深いことを言っています。

曰く「もしS氏がいなければ、N氏はあんな曲は作曲できないだろう、なぜなら、きちんとした音楽教育を受けた人間には、音楽的常識がこびりついていて大胆なことができないから。N氏の音楽知識を良いカタチで引き出したのはS氏であり、彼の「指示書」がなければ作曲できなかっただろう」と。だから今後、N氏はあのような曲は書けないと。

うん、同感。
きちんと正統派の勉強をしていると、時に型にはめられ自由度が制限されます。それを解放したのが、S氏なんでしょう。
ここまでは、音楽的な評価。

それ以外は、あまりにもお粗末。
そもそも、耳は聞こえるらしい。週刊文春によると、彼の人生はウソで塗り固められていたようです。

最初からプロデュースS氏、作曲者N氏だったら、と思います。
もっともそれではこれほどヒットしなかった、やはり「全聾の天才」「広島被ばく2世」というコンセプトは強烈だった。

しかしながら、あまりにも罪なウソです。
今後の展開にも注目したいものです。