窮地に追い込まれると判断力が鈍って、よくないことをしてしまいがちです。
事業再生の現場でよく起こっている「間違った判断」についてご紹介いたします。
状況を今以上に悪化させないために、ぜひ、参考にしてください。

借入金返済のために銀行等以外の「誰か」から借りてはいけません

ここで言う銀行等とは、銀行、信用金庫、日本政策金融公庫、JAなどを言います。
いわゆるノンバンク・消費者金融などは含みません。
銀行等が追加融資をしてくれるのであれば良いのですが、それ以外から借りてはいけません。

もし銀行等が追加融資を引き受けてくれないというのであれば、すぐに事業再生などを検討しましょう。
事業再生=倒産する ということではありません。

毎月の返済に追われているということは、既に本業で利益が出ていないことであり、新たに誰かから借りても、傷口が広がることが多いものです。
ましてノンバンクや消費者金融から借りると、どんどん深みにはまってしまいます。

返す当てがないのに、借金を重ねても、意味がありません。

相談相手を間違えないように、選びましょう

会社の資金繰りが非常に厳しいとき、弁護士さんや税理士さんに相談される方が多いようです。
しかし状況により、「こんなはずではなかった」になる場合もありますので、少しご紹介しておきます。

■ 弁護士さんに相談した場合

弁護士さんは、「法律のプロ」ですから、法的措置の説明を始めます。当たり前ですね。
選択肢は、特定調停法、民事再生法、会社更生法、破産法などがあります。
当然ですが、「銀行と相談をしながら、法的措置を回避する」というメニューはありません。

ただ、法的措置が行われると、世間の目は皆さんご存じの通りです。
その後の経営には問題がなくても、「あの会社は・・・」と思われてしまうことは覚悟しなくてはなりません。

■ 税理士さんに相談した場合

税理士さんは、「税務のプロ」です。売上、仕入れや経費などを正しく処理し、正しい決算をした上で、いくら納税するかを計算するのが仕事です。

ですから、資金繰り表を作るのは手伝ってくれても、どのようにすれば売上を伸ばすことができるのか、経費はどうすれば減らせるのか、などのアドバイスをしてくれる先生は少ないと思います。
それは税理士さんの仕事の範囲ではありませんから、当然ですね。

もちろん、視野の広い弁護士さんや税理士さんはいらっしゃるので、周囲に頼りになる先生がいればそれに越したことはありません。
ですが、専門家にはそれぞれの分野があります。状況に応じて相談相手を選ぶことは大切です。

「窮地から脱出する」ということを詳しく考えてみると、「まず、資金繰りを改善する」、次に「売上を伸ばして、経営を健全にする」という2つの段階をふまなければならないことが想像できると思います。

では、売上を伸ばしたいときに、弁護士さんや税理士さんに相談しますか?
しませんよね。マーケティングを得意とするコンサルタントなどを探そうと思うでしょう。
同じように、資金繰りが非常に厳しい時のために、事業再生コンサルタントがいます。

事業再生コンサルタントは、決して弁護士さんや税理士さんと対立しているわけではありません。
むしろその逆で、弁護士さんや税理士さん、その他の専門家と連携を取り、皆で一緒に最善策を検討します。
総合的なアドバイスを受けられる存在、と考えると分かりやすいかと思います。

この数年で事業再生コンサルタントも多くなり、選択肢も増えましたので、相談されることも考えてみてはいかがでしょうか。

ありったけの資産を単純に売却してはいけません

真面目な人ほどこれをやってしまうのですが、これをしてしまうと、事業ができなくなってしまいます。

会社は社長のものではありません。社員もその家族も、下請けさんもいるのです。
借金の返済よりも「事業の継続」と「雇用の確保」が最重要なのです。

資産の売却は必要に応じてすることもありますが、事業の継続を見すえた方法でやるべきです。

「借りたものは返す」。通常は、これが基本。
しかし、「返したくても、返せない」のなら、まず「返し方を変える」相談をする。

事業再生では、これが基本です。

これは倒産でもなければ、破産でもありません。
会社の元気をとり戻すために、「一時的」に、できる範囲で返すことを相談するのです。
そしてその間に再生のための資金を作るのです。

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